夏が訪れるたび、日本全国の工場や倉庫では熱中症をはじめ、暑さによる作業者の体調不良が問題となっています。特に高温多湿な環境や身体負荷の高い作業が重なる職場では、適切な暑さ対策を講じなければ、作業者の健康が脅かされる可能性があります。
本記事では、安全で快適な職場環境を目指すために、工場・倉庫で効果的な熱中症対策を3つご紹介します。
---目次-------------------
1.熱中症対策とは?
▶ ①高温多湿な環境
4-1.こまめに塩分・水分補給をする
4-2.暑さ対策グッズを活用する
▶ ボディシート
4-3.暑さ対策設備を導入する
6.おわりに
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1.熱中症対策とは?
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温の調整機能が正常に機能しなくなり、身体に熱がこもった状態を指します。熱中症になると、めまいや吐き気、脱水症状などの症状を引き起こします。
このようなこのような症状を防ぎ、体温調節が正常に働くよう身体や環境を整えることを「熱中症対策」といいます。
2. 工場・倉庫内は熱中症になりやすい?
熱中症と聞くと屋外で発症するイメージを強く持たれるかと思いますが、工場や倉庫も熱中症が発生しやすい場所の1つです。
厚生労働省「令和5年職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、製造業における死傷者数は全体の2割を占めています(グラフ参照)。室内作業であるにもかかわらず、屋外作業の建設業と割合が並んでいるのです。
このように、室内だからと熱中症対策を怠ると最悪の場合、命にかかわることがあります。
厚生労働省 令和5年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100761.pdf
3. 工場・倉庫内で熱中症になる原因
工場や倉庫内で熱中症が発生する主な原因は以下の通りです。
①高温多湿な環境
屋外からの熱や工作機械などの発熱により、室温が上昇することがあります。
また、工場や倉庫では窓や空調設備がない場合が多く、湿度が上がりやすい環境です。これにより汗が蒸発しにくくなるため、体温調節が困難になります。
したがって、室温と湿度が高くなりすぎないような対策が必要となります。
②身体負荷の高い作業
工場や倉庫では長時間にわたり体を動かして作業を行います。しかしながら、作業場で飲料を持ち歩けない、または自己判断で休憩が取れないことが原因で、水分不足に陥ることがあります。
まずは、会社全体で各自適度に休憩が取れる体制を確立することが重要になってきます。
4. 工場・倉庫におすすめの熱中症対策3選
工場や倉庫で実施できる具体的な熱中症対策を3つご紹介します。
4-1. こまめに水分・塩分補給をする
デスクワークとは異なり、常に体を動かす作業をしていると水分補給がおろそかになりやすいため、喉が渇いていなくても適度に水分を取りましょう。
ここでのポイントは、水分と塩分を同時に補給することです。汗をかくと体内の塩分も一緒に流れ出るため、塩分不足により熱中症を発症してしまいます。スポーツ飲料や経口補水液が推奨されますが、大量に飲むと糖分を取りすぎてしまうことがあるので、カロリーオフや糖質ゼロ表示のあるものがおすすめです。
4-2. 暑さ対策グッズを活用する
水分・塩分補給のほかにも各個人が行える対策として、暑さ対策グッズの活用があります。うまく組み合わせて、体温の上昇を抑制しましょう。
○ヘルメットインナー
ヘルメットの下に装着するアンダーウェアをヘルメットインナーといいます。ヘルメットインナーを被ることで、汗を吸収しつつ、頭部を冷やすことが可能です。ただし、使い捨てではないので、汚れたら定期的に洗濯する必要があります。
○空調服
小型のファンを内蔵した作業着を空調服といいます。ファンが稼働することで服内の空気が循環し、熱や湿気を逃がす働きがあります。ただし、塵や埃が舞う環境では、ファンがそれらを取り込んでしまい故障の原因になりますので、作業環境によっては使用できない場合があります。
○ネッククーラー
首に装着し、首周りを直接冷やす製品です。首には太い血管が通っているため、効率よく体温を下げることができます。ネッククーラーには、冷却力が高い電動タイプと充電不要の非電動タイプの2種類があります。バッテリーが切れたり保冷効果がなくなれば冷たさが感じられなくなるため、定期的な充電や交換などが必要です。
○ボディシート
安価で手に入りやすく、手軽に涼しさを感じられるのがボディシートです。清涼感だけでなく、汗の不快感やにおいをすぐに取り除くことができます。ただし、冷却効果の持続性は望めないため、他の暑さ対策グッズと併せて使用することをおすすめします。
4-3. 暑さ対策設備を導入する
○スポットクーラー
作業スペースや特に高温多湿になりやすい場所など、特定の場所を冷やすにはスポットクーラーが活躍します。エアコンとは異なり室外機がないため、設置場所の自由度が高く効率的に温度を下げられるのがスポットクーラーの強みです。一方で、スポットクーラーは排熱する必要があるため、専用のダクトを設置できない場合は逆に熱がこもってしまいます。また、機種によっては定期的な給排水が必要です。
○シーリングファン
天井に取り付けるタイプの扇風機をシーリングファンといいます。天井から風を送ることで、屋内の空気を効率的に循環させることができます。スポットクーラーほどの冷却効果は見込めませんが、排熱を気にしなくてよいのがシーリングファンの特徴です。しかし、設置には高所作業車を用いた工事が必要となり、取り付けが大変なうえ初期費用が高額になる場合があります。
○遮熱塗料
スポットクーラーとシーリングファンは屋内に導入する設備ですが、遮熱塗料は屋根や外壁に塗装することで太陽光を反射し、室内の温度上昇を抑制します。しかし、遮熱塗料を塗布した表面に汚れや錆などがあると、遮熱効果を最大限に発揮することができません。効果を高めるためには洗浄作業が必要となり、結果として費用が高くなってしまいます。
○遮熱シート
同じく屋外に施す対策として、遮熱シートがあります。遮熱シートを施工することで、太陽から発せられる熱を遮り、室内の暑さを低減させる効果があります。ただし、種類によっては結露したりカビが発生することもあるので、信頼できる製品を選ぶことが大切です。
5.熱中症対策で特におすすめは「遮熱シート」!その有効性は?
工場や倉庫が暑くなる要因の約7割は、日射による「輻射熱」といわれています。輻射熱とは、赤外線によって直接伝わる熱のことで、人に暑さを感じさせる要因のひとつです。つまり、いくら室内での暑さ対策を徹底しても、屋外の暑さ対策を行わなければ暑さは一向に解消されないのです。遮熱シートは、この輻射熱を抑制することが可能なので、施工することで屋内に届く熱を減らすことができ、熱中症対策としてとても有効的です。
太陽光を反射させて暑さを防ぐという点では、遮熱塗料も同様の効果がありますが、遮熱シートと遮熱塗料の大きな違いは「耐用年数」です。遮熱シートの耐用年数は10~20年程度。対して遮熱塗料は、種類によって5~10年程度といわれています。ただし、遮熱塗料は雨風で剥げたりカビが生えると効力が落ちてしまうため、実際に遮熱効果を期待できるのはその半分の年数になる場合があります。遮熱シートは雨風の影響を受けにくいため、より長く遮熱力を実感できます。
遮熱塗料よりも遮熱シートをおすすめしたい理由についてはなぜ、工場や倉庫の『暑さ対策』は屋根に遮熱シートが効果的なのか?で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
6. おわりに
今回は工場・倉庫でおすすめの熱中症対策についてまとめてみました。工場や倉庫内での熱中症対策は、作業者の安全と健康を守るために欠かせません。特に日本の夏は過酷ですので、会社として計画的かつ積極的な対策を講じることが求められます。労働者の健康を最優先に考え、安全で快適な作業環境を整えましょう。
当社では、導入実績2,000件を超え、様々な工場・倉庫の暑さ対策に貢献している遮熱シート「冷えルーフ」を販売しております。熱中症対策のほかにも、結露対策や雨音対策など多くの効果が期待できますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
執筆者紹介
下原 えみ(shimohara emi)
2024年桜井株式会社に入社。社員研修後にマーケティンググループへ配属。社会人生活もWEBマーケティングもまさにゼロからのスタートとなるが、どちらも両立するべく日々勉強に励んでいる。新入社員ならではの視点と丁寧な文章力を武器に”ためになる”コンテンツ記事作成を目指す。最近はドラマ相棒を見るのが至福の時間。
このコラムは、当社 営業推進企画部の出展商品担当者へのインタビューを基にWEB編集担当部門にて執筆・監修を行っております。