ーー 目次 ーーーーーーーーーー
1.防錆紙とは
▶ メリット
▶ デメリット
8.おわりに
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1.防錆紙とは
防錆紙とは、気化性防錆剤(VCI)を塗布または浸み込ませた包装紙のことです。防錆紙で包み込むことで、気化性防錆剤が常温で徐々に気化し、製品表面に付着して防錆皮膜が形成されます。形成された防錆皮膜が空気中の水分や空気、埃などの錆の発生原因との接触を防止することに繋がります。
「気化性防錆紙」と呼ばれることもありますが、これは防錆紙と同じものを指しています。
2.そもそもなぜ錆は発生するのか?
鉄素材は、そのまま自然界に存在しているわけではなく、原料となる鉱石を熱で溶かすことで取り出されたものです。本来、鉱石は空気中に含まれる酸素や水分に触れ続けているため、酸化鉄として存在しています。そのため、人為的に取り出された鉄素材は、空気中の成分と触れ、自然の元の姿に戻ろうとするため錆が発生します。
3.防錆紙が錆の発生を防ぐ役割と原理とは
防錆紙で包むことで錆の発生を防ぐことができると説明しましたが、その役割としてはどのようなものがあるのでしょうか。
空気中の酸素や水分、埃などと金属成分が化学反応を起こすことを防ぐ役割
腐食性ガス(硫化水素など)から保護する役割
気化性防錆剤を塗布または浸み込ませた包装紙で包み込むことで、紙に含まれる気化性防錆剤が常温で徐々に気化します。密閉された空間内で気化した防錆剤が、製品表面に付着して目には見えない防錆皮膜を形成することで、錆の発生を防ぐことができます。
4.防錆紙の使用方法とは
防錆紙を使用して保管する一般的な方法をご紹介します。
防錆保管をしたい製品に付着するごみや汚れ、指紋などを取り除きます(洗浄)。
気化性防錆剤が塗布された面を内側にして製品を包み込みます(ラッピング)。
包み込んだ防錆紙をテープで止めて完了です。
防錆期間を延ばしたい場合は、防錆紙で包み込んだ製品をさらにポリ袋(PE)に入れます。
必要になった際に製品を取り出します。使い終えた防錆紙は自治体の基準に沿って廃棄します。基本的には使い捨てが推奨されています。
5.防錆紙のメリット・デメリットとは?
メリット
・製品価格が比較的安価
・一般的に認知度が高く、比較的入手が容易
・防錆油を使用せずに防錆保管することができる
・包む(ラッピング)だけのため作業工程が短く済み、作業場が汚れない
・廃棄の際は可燃ごみに捨てることができる(※自治体の基準に従ってください)
デメリット
・大きな機械や製品を包むことができない
・防錆効果が半年から1年と比較的短い
・製品と防錆紙表面の距離が離れていると気化した成分が十分に届かない可能性がある
・屋外で保管することができない
・薬品の匂いがする場合がある
6.防錆紙の効果が継続する期間はどのくらい?
防錆紙の有効期限は、メーカーにもよりますが梱包後6ヵ月から1年程度となります。ポリ袋などを併用することで、最大3年程度、防錆保管をすることができます。
※未開封など保管状態によって有効期間は変動するため目安となります。
気化して形成された防錆皮膜は次第に厚みが薄くなっていくため、防錆効果も弱まります。防錆期間を延長する場合は、包み変えることで継続して保管することができます。
7.防錆紙よりも長期保管できる防錆効果が高い防錆フィルム「インターセプトテクノロジー」
防錆紙は一般的にも認知されており、価格も安価であることからさまざまな企業で使用されています。一方で大型の製品や機器など紙で包めないサイズには対応できない点など、不満に思う方々も多くおられます。
その点、桜井株式会社が販売する防錆フィルム「インターセプトテクノロジー」は、6,000mm×45mの大判ロールによって、大型製品も包むことが可能です。防錆期間も3~5年程度効果を維持することができます。
また、防錆油を一切使わずに防錆保管することができるため、油汚れも塗布脱脂作業の手間も発生せず、長期的保管を行う場合にトータルコストを抑えることができます。
もしご存じではなかった方、少しでもご興味を持っていただけた方は、ぜひ問合せフォームよりご相談ください。まずは資料をみたい、という方は資料DLフォームよりダウンロードしていただけます。
8.おわりに
今回は防錆紙に関してさまざまな内容をまとめてみました。
防錆対策として防錆紙をご検討されているお客様にお役に立つ情報となり、また防錆紙以外にも「防錆油を一切使わない防錆方法がある」ことを知っていただけましたら幸いでございます。
桜井株式会社は、防錆対策にお困りのお客様に、しっかりとヒアリングをした上で最善と考えるアドバイスをご提供いたします。お困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
執筆者紹介
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第三営業部 開拓・開発グループ
防錆フィルム「インターセプトテクノロジー」販売の中核部門として活動。2023年7月にインターセプトテクノロジージャパン㈱より事業譲渡を受け、日本総代理店として米国EMI社とパートナー契約を締結。現在、国内はもとよりアジア各国へ販売展開中。