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防錆効果が薄れてしまう原理【防錆担当者必見!】


製品の保管や輸出、輸送を行う際にある程度の目安期間を想定するのではないかと思います。その保管期間中は、新品同様のクオリティを維持しなければならず、サビなどの発生はクレームに発展してしまうため、要注意しなければならない問題です。

いざ、防錆対策をしても「年内消費予定が2年に伸びた」「保管推奨期間を少し超えてしまった」といったイレギュラーは起こり得るもの。

では、実際に防錆効果はどのような原理で薄れてしまうのか、という疑問を解決していきたいと思います。


ーー 目次 ーーーーーーーーーー

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1.防錆とは

そもそも防錆とは、どういう意味なのかを改めてご説明します。

防錆は、読んで字のごとく「錆び(サビ)の発生を防止すること」を意味します。

金属には、鉄や銅、ステンレスなど様々な種類があり、種類ごとに錆びの発生メカニズムは異なりますが、物質を腐食させる影響を持った気体の「腐食性ガス」と湿気や結露などの「水分」が合わさることで、金属に付着し金属電子のバランスが崩れ、錆びが発生するのです。



2.防錆対策の種類

この「腐食性ガス」や「水分」から金属および製品を守るために、様々な防錆対策品が市場に存在します。 


  • 防錆油

  • 防錆紙

  • 気化性防錆剤

  • 気化性防錆フィルム

  • 特殊銅粒子防錆フィルム


いずれも材質や使用方法、防錆原理は異なりますが、「腐食性ガス」や「水分」を対象物に対して近づけさせない点では同じものとなります。

メカニズムが似ている方法もあるので、一般的な2つの防錆効果とインターセプトテクノロジーの防錆効果に関する原理をみてみましょう。


①「防錆油」


防錆油は、金属表面に塗布するオイルのことを指し、皮膜を形成することで金属表面に水分や空気、埃などの接触を防止する役割を持ちます。圧倒的な認知度を誇る伝統的かつ汎用的な防錆方法です。基本的には、金属表面が出ている部分すべてに対し塗布する必要があり、使用後は脱脂のために洗い流す・乾かす作業が発生します。

防錆効果が低下する原因は、塗布した防錆油が減ってしまうことです。

酸化されることで、防錆皮膜の厚みが薄くなってしまうことになります。


防錆持続期間は、梱包後から約3ヵ月~2年程度と言われています。

(※持続期間は目安であり、使用環境や方法、製品によって変動があります。)


②「気化性防錆剤」


気化性防錆剤は、固体・液体の区別はなく、常温状態で徐々に気化するトルエンベースの気化剤に防錆剤を混合しているもののことを指し、金属表面全体に防錆剤が付着し皮膜を形成します。この気化性防錆剤は、一般的な防錆紙や防錆フィルムなどに塗布または含浸させる形で使用されることもあります。

そのため、気化性防錆剤が塗布または含浸された防錆紙や防錆フィルムは、製品を包むことで空気や湿気から守ります。一方で内側では、気化性防錆剤や同梱する乾燥剤が金属から「腐食性ガス」「水分」の接触を抑える役割を持ちます。腐食性ガスは透過して接触します。

防錆効果が低下する原因は、以下3点になります。


Ⅰ.気化性防錆剤の量が減ってしまうことで、防錆皮膜の厚みが薄くなってしまうこと。

Ⅱ.同封した乾燥剤が水分の吸収しきってしまうこと。

Ⅲ.気化剤の抜けたフィルムは通常のポリエチレンフィルムよりも湿気透過率が上がり、3ヶ月を超えると途端に効果が落ちます。


防錆持続期間は、梱包後から約6ヵ月~3年程度と言われています。

(※持続期間は目安であり、使用環境や方法、製品によって変動があります。)


③「特殊銅粒子」


特殊銅粒子は、空気中に浮遊する「腐食性ガス」を吸着・中和する役割を持ちます。また、気化性防錆剤同様、合わせて乾燥剤を入れることによって、「水分」を吸収し、腐食防止の効果を発揮します。中和された環境下では金属の酸化を抑制し錆を発生させません。

防錆フィルム「インターセプトテクノロジー」では、フィルム自体に通常の256倍の表面積を持つ特殊な銅粒子が練りこまれており、この特殊銅粒子が錆びることにより梱包内の環境を完全に中和し、錆の発生を防ぎます。

防錆効果が低下する原因は、練りこまれた特殊銅粒子が酸化して飽和状態となると腐食ガスを中和することができなくなることです。


防錆持続期間は、梱包後から約2年~10年程度と言われています。

(※持続期間は目安であり、使用環境や方法、製品によって変動があります。)



3.全体的に防錆効果が薄れる要因
  • 屋外や近場に水場があるような高温多湿環境の場合

  • 適切な量(塗布または乾燥剤など)ではない状態で行った場合

  • 金属表面に汚れ等が付着している、劣化している場合



4.おわりに

如何だったでしょうか。

防錆する基材によって、効果が薄れてしまう要因や効果持続期間に違いがあります。

それは、コストや作業時間(手間、人件費)、保管期間、保管場所(屋内、屋外)、サイズなど重視する項目によって適切な防錆対策があると思いますが、現実的には同製品の規格違いを運用する割合が多いと思います。

とはいえ一番大切なことは、錆びを発生させない保管環境を整えることです。

信頼をおける防錆対策製品をぜひ見つけてください!



執筆者紹介

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第三営業部 開拓・開発グループ

防錆フィルム「インターセプトテクノロジー」販売の中核部門として活動。2023年7月にインターセプトテクノロジージャパン㈱より事業譲渡を受け、日本総代理店として米国EMI社とパートナー契約を締結。現在、国内はもとよりアジア各国へ販売展開中。

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