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乾燥剤で徹底防錆! 正しい選び方と効果的な使い方【防錆フィルムとの併用がカギ】

  • 執筆者の写真: sakurai-column
    sakurai-column
  • 12 分前
  • 読了時間: 6分
効果的な乾燥剤。しっかり選べてる?


1. 防錆対策の重要性と乾燥剤の役割

金属製品は、空気中の湿気や酸素と反応して錆が発生すると、機能の低下や外観の劣化を引き起こします。特に製造業では、出荷前や保管時の防錆対策が欠かせません。


この対策として重要なのが「乾燥剤」の役割です。乾燥剤は密閉空間の水分を吸着し、相対湿度を下げることで錆の発生を防止します。適切な乾燥剤を使用することで、錆びやすい環境から製品を守り、品質を維持することが可能となります。



2. 錆の原因とメカニズム

錆びやすい金属のひとつである鉄は、鉱石から高温で還元(酸素を取り除くこと)されて得られた金属であり、安定した状態(=酸化鉄)に戻ろうとする性質を持っています。このため、空気中の水分や酸素と反応して錆(酸化反応)が発生します。


つまり、錆とは鉄などの金属が自然の状態に戻ろうとする「腐食」の一形態です。



3. 防錆目的に適した乾燥剤の種類と特徴

乾燥剤は吸湿方法の違いにより、大きく以下の2種類に分類されます。

① 物理吸着型乾燥剤

多孔質構造に水分を吸着して湿度を下げるタイプです。

◇シリカゲル◇

・細かい孔を持ち、低湿度下での吸湿に優れる

・加熱により再生可能

・A形(低湿度向け)とB形(高湿度向け)の2種類がある

シリカゲルは、包装用乾燥剤として広く用いられている乾燥剤であり、近年は有機色素をインジケーターとして使用されています。粒の内部に無数の小孔を持ち、大きな表面積を有します。吸湿容量はそれほど大きくありませんが、加熱によって簡単に再生でき、化学的に安定しているため、扱いやすい乾燥剤です。


また、シリカゲルにはA形、B形の2種類があります。A形は比較的低湿度の環境下において吸湿率が高く、B形は比較的高湿度の環境下における吸湿率が高い乾燥剤となります。


◇合成ゼオライト◇

・強力な吸湿力、高温でも性能を維持

・再生可能で、輸出梱包などで使用される

ゼオライトは、天然に産出する多孔性の粘土鉱物を基にした、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含むアルミノケイ酸塩です。網目構造のすきまに水分子を吸着することで乾燥剤として作用します。吸湿力はきわめて強く、300~400℃に加熱することで再生可能となります。


◇クレイ系乾燥剤(ベントナイトなど)◇

・自然由来で環境負荷が低い

・中性で金属への影響が少ないため、防錆用途に適す

クレイ系乾燥剤は、天然の粘土鉱物(ベントナイト、モンモリロナイト)を原料として乾燥・加工した乾燥剤です。低湿度でも高い吸湿能力があり、電子機器や精密機器、輸送コンテナーなどの防湿に適しています。毛細管現象による物理吸着で、吸着しても大きさや形状に変化が無く、腐食性、潮解性(液化)などもありません。


② 化学吸着型乾燥剤

化学反応により水分を吸収するタイプです。

◇塩化カルシウム◇

・吸湿容量が非常に大きい

・潮解(液化)リスクがあるため注意が必要(吸収性ポリマー配合製品で改良可能)

・気化性防錆剤(VCI)との併用には注意

塩化カルシウムは、水分を吸収して六水和物になり、気温によっては液化(潮解)することがあります。この欠点を改善するために、吸収性高分子を加えて潮解性を抑えた商品も開発されています。


なお、アンモニア、アミン類、アルコールなどと分子化合物をつくることが分かっており、アミン等を用いた気化性防錆剤と併用すると、防錆剤を取り込んでしまう可能性があるため注意が必要です。


◇酸化カルシウム◇

・食品包装などに使用される

・吸湿速度は速いが飽和すると無効化

・水との直接接触や二酸化炭素に注意

酸化カルシウムは、食品包装に多用されている乾燥剤です。吸湿速度は速いですが、表面が飽和すると活性がなくなります。二酸化炭素が存在すると著しく不活性となります。急激に水と反応すると発熱する為、直接水と接することがないように注意が必要です。



4. 乾燥剤の選び方と使用上の注意点

選定基準

ポイント

吸湿容量

保管する製品のサイズ・保管期間に応じて選定

使用環境

温度・湿度・密閉性などを確認

再利用性

コスト重視なら再生可能タイプがおすすめ

安全性

食品・医薬品には食品対応の乾燥剤を推奨

相性

防錆剤・防錆フィルムとの化学反応の有無をチェック

注意点:

乾燥剤は開封と同時に吸湿が始まります。梱包直前に開封し、製品に直接接触させないことが重要です。また、気化性防錆剤と一緒に使う場合は、乾燥剤がアミン等を吸着してしまわないか事前に検証が必要です。



5. 防錆フィルムとの組み合わせで効果UP

乾燥剤単体では限界がありますが、防錆フィルムと組み合わせることで、相乗効果による高い防錆効果が実現します。


ただし、多くの防錆フィルムは「気化性防錆剤(VCI)」を含んでおり、乾燥剤の種類によってはVCI成分を吸着してしまい、防錆効果が低下する場合があります。併用する際は、乾燥剤とフィルムの相性を事前に確認しましょう。



6. おすすめの防錆対策:クレイ系乾燥剤×インターセプトテクノロジー

私たち桜井株式会社がおすすめするのは、クレイ系乾燥剤と「防錆フィルム:インターセプトテクノロジー」の組み合わせです。


▶ インターセプトテクノロジーとは?

防錆剤を含まない独自技術で、銅粒子が腐食性ガスを中和。気化成分を発生させず、安全かつ長期間の防錆効果を発揮します。


▶ なぜ相性が良い?

インターセプトは中性環境に適しており、中性のクレイ系乾燥剤との併用で、化学反応のリスクなしに防湿・防錆を同時に実現します。



7. よくあるご質問(FAQ)

Q. 乾燥剤だけでも錆を防げますか?

A. 短期的には可能ですが、気密性や外部環境の変化によっては限界があります。防錆フィルムなどとの併用がおすすめです。


Q. 乾燥剤と気化性防錆剤は併用できますか?

A. 乾燥剤の種類によってはVCI成分を吸着してしまい、防錆効果が低下する恐れがあります。事前の確認が重要です。


Q. どの乾燥剤が自分の製品に合うかわかりません。

A. 製品の材質・保管条件により最適な組み合わせが異なります。当社では、用途に応じたご提案も行っていますので、お気軽にご相談ください。



8. 錆でお困りなら、お気軽にご相談ください!

防錆・防湿においてピッタリなソリューションを提供いたします。

乾燥剤の必要量、使用環境、防錆フィルムとの組み合わせなど、プロの視点から対策をご提案します。


執筆者紹介

第三営業部 開拓・開発グループ

防錆フィルム「インターセプトテクノロジー」販売の中核部門として活動。防錆管理士が在籍。2023年7月にインターセプトテクノロジージャパン㈱より事業譲渡を受け、日本総代理店として米国EMI社とパートナー契約を締結。現在、国内はもとよりアジア各国へ販売展開中。

 
 
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